小説家、劇作家と幅広く活躍した井上ひさし(1934~2010)は、自ら遅筆堂を名乗るほど遅筆でした。しかし、その作品の完成度は高く、笑い、ことば遊び、パロディ、どんでん返しなど、ことばの魔術師と呼ばれるほど日本語の豊かさとおもしろさにあふれています。 放送作家として手がけた『ひょっこりひょうたん島』は国民的人気番組となり、1972年に『手鎖心中』で第67回直木賞を受賞、1981年に刊行した『吉里吉里人』で、第2回日本SF大賞、第33回讀賣文学賞を受賞しました。1984年には劇団こまつ座を旗揚げし、『頭痛肩こり樋口一葉』『父と暮せば』など、演劇史に残る話題作を発表し続けました。 生誕90年を記念する本展では、貴重な自筆原稿や創作資料、舞台映像などにより、井上ひさしの放送作家としての出発、小説の仕事、また、「演劇にはとてつもない大きな力がある」と語った戯曲の仕事を紹介し、その文学世界に迫ります。
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